Loading...
Skip to Content

マリンニュース(日本海事新聞社)

31 Aug 2020

マリンニュース(日本海事新聞社)

川崎重工業の中国合弁造船所NACKSは、日本の品質とコスト競争力を活かし、61,000重量トン型バルカーを相次いで受注。シンガポールの海運会社であるYK Bulkersは、同型船を2隻発注した。なお、日本の船主が1隻アップグレードしたという。3隻の船価は不明。しかし、NACKSは今月末までに、NOx(窒素酸化物)第二次規制(Tier II)ドックでNordenに発注した同型船6隻のロット注文を受けた。日本製の38型バルクキャリアの市場価格よりも低い価格で契約が成立という。

新造船の建造数が激減し、新型コロナウイルスの感染拡大により船舶価格の引き下げ圧力が強まる中、川崎重工業の生産・管理体制とコスト競争力を併せ持つNACKSは、「新造船市場における日本企業のリーダー」(商社の関係者)としての存在感を増している。

シンガポールの船会社YK Bulkersは、NACKSとの間で61型バルカー2隻の建造契約を締結したと発表。

NACKSは、6月末にデンマークの大手不定期船会社Nordenから61型バルカー4隻を受注し、今月中旬には同型船2隻を追加で受注。 複数の関係者によると、日本の船主は最近1隻をクローズしたようで、この3カ月で61型バルカー9隻を受注している。

NACKSは、61型バルカーの一連の成約船価を明らかにしていない。しかし、複数の関係者によると、その船価水準は「日本の造船所が61型よりも小型の38型バルカーを日本で建造する際の市場価格を下回っている」(同)という。

NACKSは、1995年に日本や韓国よりも人件費の安い中国で設立されて以来、川崎重工や坂出製作所から移植された生産・管理手法をもとに、競争力のある船価で注文を受けている。生産ラインの自動化などの効率化を着実に進め、大きな成果を達成。

一方、現時点では、ノルデン船6隻を含む同型61型バルカーのロット受注が続いており、商社の関係者が「1隻あたりの建造コストの低減もコスト競争力の要因」(同)と主張している。

また、複数の関係者によると、NACKSがNordenに発注した6隻は「世界で最も残存数が少ないNOX Tier IIドックで建造される」という。(公式情報)

海外の新聞では、YK Bulkersが発注した2隻がTier IIに対応していると発表。このため、建造費が高い同型のTier III対応船と比べて、船価が安くなる可能性があるという。

受注量が減少している中、Tier3中小型バルカーの大型船の受注を促進したい国内造船所の苦戦が続いている。

日本の造船所関係者は、「中小型ばら積み船の場合、Tier III船の新造船価格は、一般的にTier II船から200万ドル(約2億円)程度上昇する」と主張。「Tier III船の価格がコスト増に見合った水準まで回復するためには、Tier II船とTier III船の違いを用船料に明確に反映させる必要がある。」と述べた。